第18話、世界遺産ブナ林散策道

ホウチャクソウ09年6月2日
看板、森の働き08年7月24日
ブナ林09年11月10日

皆さん看板の周りに集まって下さい。林野庁で設置された看板です。

これは森の土壌の構成を説明している看板です。森では秋になると葉っぱや枝、木の実などが落ちて、これを虫やネズミ達が食べて小さく刻み、一部は糞になります。こんどは微生物がさらに細かく切り刻み腐葉土に変えます。

また土の中には虫たちやモグラなどが這った跡や木や草の根が腐った跡など無数の穴があいています。つまりスポンジのようになっていて水を蓄えることができます。最近、雨が降っていないが土を思いっきり握ったら水が出てきました。このように森の土には水分を多く含んでいます。

斜面の花はホウチャクソウ、五重の塔の四隅を飾る宝鐸に似ていることから付いたそうです。

正面のブナの木をご覧ください。地面まで1本の黒い線が通っています。

これは、雨が降って葉っぱが飽和状態になると雨水は枝から幹を伝って地表へ下る時いつも同じ場所を通るため、その部分が濡れて苔が生えるからです。

数年前、夫婦2人を案内した時、ここでゲリラ豪雨に遭いました。ザーというよりゴーという感じで降った雨は、正面のブナの木を流れ落ちると土の中に吸い込まれるようにスーと消えて行った。しかし歩道は雨水がゴーゴーと流れ、小沢の橋は膝上で氾濫寸前、幸いスパイク付の長靴を履いていたので、私が沢の真ん中に立って二人の手をそれぞれ握って誘導しながら渡り終えることができた。ようやく最後のトイレまで来たが暗門の滝歩道が冠水していたため、山岸を通って無事下山することができた。勿論、歩道は進入禁止となっていた。

私の現住所青森市の裏山は八甲田山。毎年、冬になると6m前後の積雪となります。この雪が春から夏にかけて少しずつ融け、水は土中に浸み込んで行き、濾過され、ミネラルをいっぱい含んで60年という長い年月をかけて川に湧き出て来ます。青森市民の多くは八甲田山の麓にある横内浄水場の水を飲んでいます。この水は八甲田山の湧水を利用しているため、日本で1番美味しい水道水に認定されている。

帰りに横内浄水場の水道水より美味しい水飲み場の水を飲んで、汲んで行ってください。


白神山地ビジターセンター 解説員 櫛引 英雄