「しらかみな人」とつながるインタビュー 昌子の いつか白神でフォークダンスを。

第7回目 鎌田 祥史さん 湯けむり津軽代表/岩木山観光協会 事務局員

「山、川、海 温泉地としての魅力が満載」


当館Facebookページにおいて全7回に渡る「しらかみな温泉」エッセイシリーズを執筆していただいた鎌田さんに、温泉そのものの魅力やエッセイを執筆した感想をお聞きしました。


Q温泉に興味を持ったきっかけは?


大学時代に入っていたよさこいサークルの活動で祭りに参加するために全国各地に遠征していたのですが、その途中で熱海などの温泉地に寄ったのがきっかけです。当時は学生アパートに住んでいたのでシャワーで済ますことがほとんどだったのですが、だんだんその生活が辛くなってきて。たまの遠征で湯船に浸かるとめちゃくちゃ気持ちいいってことに気づいた時に温泉に目覚めた感じです。その後就職してからも、ある程度長い休みが取れると大分県の別府とか温泉地にあちこち行くようになりました。ふらっと全然知らない町の温泉に入るのが好きですね。お客さん同士の会話に耳を傾けると、その町のホットな話題が見えてくる。そうやってなんとなくその土地に溶け込んだ感じになるのが面白いですね。


Q温泉ソムリエとしての温泉への想いをお聞かせください。


温泉についての知識や入浴方法、日本の湯治文化を広く色々な形で伝えたいと思っています。専門知識を身につけるために、温泉ソムリエと温泉入浴指導員という資格を取得しました。温泉は日本だけでなく、世界各国で健康、療養のための貴重な資源として活用されています。例えばドイツでは温泉は「クアオルト」という名の保養地で、医療保険が適用される自然療法として温泉を活用しています。一方で、日本で古くから温泉を療養に活用してきたのが「湯治」です。農閑期や季節の変わり目に長期間温泉に滞在することで心身を癒す日本の湯治文化は古くから行われ、日本の温泉は湯治場として歴史を紡いできました。明治時代にベルツ博士が来日し、温泉医学の観点から草津温泉をはじめ、日本の温泉を高く評価し、世界に紹介されるきっかけとなりました。

最近では、昔からの本来の形である2~3週間の長期間の湯治は少なくなりましたが、日常から離れて純粋に湯に入り温泉の持つ健康効果を最大限に享受する日本の湯治文化は財産だと思いますし、形は変わっても湯治の姿勢というものは続けるべきだと思います。


Q白神山地の温泉の魅力は?


地域として、山と川と海、三拍子揃っているのがいいですよね。白神として括れば全部味わえる。それに温泉の泉質や浴場からの展望から、自然の恵みを全身で感じることができるのがいいです。岩木地区の地域おこし協力隊として活動していたので嶽温泉とか百沢温泉とか山間の温泉の方になじみがありましたが、山から川、海までを感じられる今回の白神山地の温泉の取材は自分としてはとても楽しかったし、勉強になりました。


Q「しらかみな温泉」エッセイ執筆にあたり感じた事をお聞かせください。


取材前のイメージでは、白神の温泉は青森県内では比較的最近に登場した温泉なので、観光向けの温泉としての役割が強いのかなと思っていました。 しかし実際には、観光客向けの役割ももちろん果たしながら、地元に住む人々が日々心身を癒している場所であることが分かりました。 更に温泉の立地が山、川、海沿いとそれぞれ全く違い、それぞれ泉質や浴室の特徴が全く異なるのが印象的でした。 「白神の温泉」としてダイナミックに自然を感じる温泉という魅力が出せると思うので、今回の連載シリーズのように白神の温泉としての企画を続けたり、旅行企画やイベントを開催して、「白神の温泉」というブランドを発信していければいいと思います。


―白神の自然の恵みを温泉で感じる。なんて素敵な響きでしょう!登山と温泉の親和性は高いと思うので。今後のブランディングに期待しています。



(取材・文・編集/白神山地ビジターセンター 山本昌子  撮影/小田桐啓太)