このブナの木の楕円形の穴はクマゲラが餌を採った痕です。
巣を作る木は太く真っ直ぐに伸び、途中まで枝のない広葉樹に丸い穴の巣を造ります。左側の中腹に巣の痕があります。歩道が整備され、人の往来が激しくなったためクマゲラは何処かへ行ってしまいました。
この植物は最初きのこの種類と思っていたが、調べた所キヨスミウツボとわかりました。10年以上、百回近くもこの森に入ったが見つけたのが1度だけです。
それでは出発します。今度は左折して奥の円に入って階段を登って行きます。登り終えた方はこちらに集まって下さい。
足元の小さな木はツルシキミで正面の大きな木はブナです。秋篠宮様が暗門の滝を目指したが、雨が降って断念し、代わりにブナ林散策道を散策、このブナの木まで来て引き返したと言われています。このため、私は紀子さまの木として御案内させて戴いています。
ブナは漢字で木篇に無と書きます。腐りやすく狂いやすいなど木材の3大欠点を持っているので木で無いと言う名前を付けられました。
しかし、ヨーロッパでは森を育てる木、マザーツリーとか森の聖母と言われているそうです。私達は胸高直径1m以上を巨木と呼んでいるのでこのブナは80㎝位いと巨木に達していない。しかしブナ林散策道ではトップクラスの太さ、皆さんこの木の前で写真を撮りましょう。
ブナ林の林床には日陰でも育つ陰樹性のヒメアオキや先程のツルシキミが生えています。これは日当たりを嫌う腐生植物で、6月に花を咲かせるギンリョウソウです。
さらにこの先の歩道脇に8月の下旬から9月にかけてギンリョウソウモドキが咲きます。双方は花の形が違うようですが、私は花が咲く時期で区別しています。
階段を登りきった方からここに集まってください。正面の斜面に群生しているフキのように大きな葉っぱを付けているのはサンカヨウです。
春、純白な花弁で中心部に黄色い雄蕊を付けた花は息を飲む程に美しい。
秋、種が黒く熟すと大変美味しいが、皮と殻で殆ど食べる所がない。
この木はホオノキです。葉っぱでおにぎりなどを包んだことからこの名が付いたそうです。昔、版画や下駄に、現在は家具や建築材に利用されています。
白神山地ビジターセンター 解説員 櫛引 英雄