第20話、世界遺産ブナ林散策道

痂状地衣類08年7月12日
ササバギンラン09年6月12日
ノビネチドリ09年6月2日

幹線の歩道、T字路に出ました。それでは左折して暗門の滝歩道に向って行きます。急な坂を登り終えたのでここの広場で休憩し、水分を摂ります。

それでは休憩時間を利用して痂(か)状地衣類について説明します。

皆さん私の前のブナの木をご覧ください。見てのとおり色々な模様が付いています。

日本海側のブナは本来肌が白いのでシロブナと言われ、太平洋側のイヌブナは黒いためクロブナと呼ばれています。

ブナの肌は苔や痂状地衣類などが模様を作って黒く見えます。痂状地衣類の痂(か)はかさぶたという漢字で、かさぶたのような模様をした菌類と藻類が共生しているという意味だそうです。これらは白神山地が雨が多く霧も多く発生するなど、さらに環境にも優れているからだそうです。

また夏になると陸地に住む小さな蛍、ヒメボタルがいるそうです。

これからは暫くの間、下りの階段が続くので、つまずいて転ばないように注意してください。

この植物はラン科の腐生植物でAランクのショウキランといいます。

中間の待避所につきました。休憩してください。

休憩時間を利用して植物の説明をします。

この花は葉っぱが荷車の車に似ているためクルマユリといいます。

皆さん左斜面をご覧ください。この山野草は葉っぱの上に花が咲いているのでコウライテンナンショウ、こちらは葉っぱの下に花が咲いているヒロハテンナンショウです。

歩道を境に左と右の斜面の植生が違うのにお気付きでしょうか。左は中腹でブナの適地、右は地下水が高いのでサワグルミやミズナラの適地となっています。右の巨木はミズナラです。昔、日本で焼畑農業をやっていた頃、この木は燃え難いし、運ぶと重いので邪魔者扱いされていた。しかし西洋では酒樽や家具、建築材と引手あまた、キングオブツリー、森の王様といわれていた。

私はお客さんを案内する時、事前に下調べをしています。関西の団体さんの案内を頼まれたとき、本番2日前に調べた所、左前方、ミズナラの巨大風倒木にウスヒラタケがびっしりと生えていた。本番時に絶好の説明材料と思っていたが、当日になると風倒木まで植物がなぎ倒されて道がついていた。ウスヒラタケは1枚も残っていない、総て採られていた。

右奥の花はササバギンランで足元に咲いている花はギンランとマイズルソウ、ジンヨウイチヤクソウです。

この花はノビネチドリですが、これだけ大きく成長したのは初めて見ました。ヤグルマソウの葉っぱに隠れて、追いつこうと頑張ったからからでしょうか。


白神山地ビジターセンター 解説員 櫛引 英雄