「しらかみな人」とつながるインタビュー 昌子の いつか白神でフォークダンスを。

第16回目 菊池 郁夫さん  株式会社みちのく計画

「社員全員で白神山地のボランティア活動」


──みんなの場所が、心地よい場所であるために


公共事業に携わらせていただくことへのお返しになるようにと私が発案し、ボランティア活動を開始したのが平成22年のことです。 白神山地の下草刈りを行うグループの他、会社の周辺や地域に流れる赤川や駒込川の清掃活動など4つのグループに分かれ、約60人の従業員全員がボランティア活動に取り組んでいます。

今では弊社の恒例行事になっており、特別な事情が無い限りは全員参加することに決めているほど大切な活動だと考えています。 部署の違う従業員同士が和気あいあいとしながら協力している姿は見ていて快いものです。


私はというと、毎回白神山地の「高倉森自然観察歩道」の下草刈りに参加しています。 「高倉森自然観察歩道」は津軽峠とアクアグリーンビレッジANMONを結ぶコースで、尾根道をたどりながらアップダウンを繰り返す場所や、緩やかなブナ林を楽しめる人気のルートです。

そのため登山者も比較的多く、草刈りの要望も高いのです。 日頃から登山で鍛えた体力で、先陣をきるように草刈り機を使います。 毎年参加している私にとっては慣れたルートですが、傾斜が急な箇所も少なくなく、中にはついてくるのがやっとな人もいます。 そんな時も持ちつ持たれつ、参加するスタッフ同士でフォローしあいながら作業をしています。 白神山地で多くの方が山歩きを楽しめるよう、これからもこの活動を続けていきたいと思います。


──山との出会い、山での出会い


50歳のときから趣味として登山を始めました。趣味とはいえど、事を始めるには何か目標を立てなければいけないと思い、まずは青森県の138座の登頂を目指しました。これを5年で達成し、次の10年間をかけて東北100名山登頂を達成しました。

60歳の頃には山スキーも始め、趣味の幅が広がりました。現在まで登山を続けてきたおかげで「山をやっている菊池」と社内にもすっかり定着しています。登山は私に友達作りのきっかけを与えてくれました。

東北100名山はほぼ一人で歩きましたが、行く先々で出会いがありました。 初めて行き会った人と7時間の山行を共にしたことは今でも思い出です。一期一会の出会いのつもりが今でも連絡を取り合う仲になったこともあります。これからも目標を持って登山を楽しみたいですね。


取材後記
手つかずの自然を保つ一方、レクリエーションや環境教育の場として白神山地が利活用されるためには程よく整備された自然環境が必要です。毎年行われる草刈りのおかげで私たち入山者は道を失わずに登山を楽しめます。自然を安全に、快適に楽しめる事に感謝の気持ちを忘れずに持とうと、菊池さんとのお話しの中で思い起こされました。


(取材・文・編集/白神山地ビジターセンター 山本昌子  撮影/小田桐啓太)